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埼玉県総合医局機構 KOBATON.med

10年後にどのような医師になっていたいか…をイメージして決めてみてはいかがでしょうか。

門野 夕峰 / 大村 泰人  かどの ゆうほ / おおむら やすと

勤務先
埼玉医科大学大学院 教授 / 埼玉医科大学大学院
診療科
整形外科・脊椎外科
医師年数
医師29年目 / 医師18年目
出身大学
東京大学 / 埼玉医科大学
資格
【門野 夕峰先生】
専門医機構整形外科専門医・指導医
日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医
医学博士

【大村 泰人先生】
日本整形外科学会 専門医・指導医
日本手外科学会 専門医・指導医 
日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会 認定リウマチ医  
医学博士
経歴
【門野 夕峰先生】
1995(平成7)年 東京大学医学部卒業
東京大学医学部附属病院、茨城県立中央病院、東京都立広尾病院、三楽病院で臨床研修
その後、大学院進学、米国ペンシルバニア大学留学
2013(平成25)年 東京大学医学部附属病院講師
2015(平成27)年東京大学大学院准教授
2016(平成28)年4月より現職

【大村 泰人先生】
2007年(平成19年)3月 埼玉医科大学医学部 卒業
埼玉医科大学病院 初期研修し、2009年(平成21年)4月に埼玉医科大学病院 整形外科・脊椎外科 入局
そのご関連病院である朝霞台中央総合病院(現在のTMGあさか医療センター)、秩父市立病院で臨床研修
2013年(平成25年)10月~ 埼玉医科大学病院 整形外科・脊椎外科での勤務を再開し現在に至る
埼玉県キャリアコーディネーターの門野先生および、同院の大村先生にインタビューを行いました。 専門研修先を選ぶ上でのポイントや、貴重なアドバイスが満載ですので、ぜひ御覧ください。

1.専門研修先を選ぶポイントについて

基本領域(診療科)はどのように選ぶのがよいでしょうか?

(大村先生よりご回答)
『シンプルに何をやりたいかで決める』が一番、と私は考えています。
例えば私の場合には、手術という自ら会得した技術を武器に患者を治療している外科系に惹かれて外科系に行こうとまずは思いました。
そして外傷を治療できるようになりたいという思いから整形外科を志しました。
難しく考えずにシンプルに自分が何をしたいのか…、10年後にどのような医師になっていたいか…をイメージして決めてみてはいかがでしょうか。
少なくとも私はこの方法で整形外科医となり、後悔したことはありません。

専門研修基幹施設を選ぶポイント(基準)はありますか?

(大村先生よりご回答)
『より広い範囲、より多くの症例を経験できる環境』であることと思います。
自分が進むべき科が決まった時点で、こういうことをやりたいという何となくのイメージを持っている先生も少なくないと思います。
ただし、学生や研修医として外から見ているのと、実際に入局したあとに見えてくるものが大きく異なっていることも少なくありません。
つまり、学生や研修医の時には全く興味のなかった領域が、入局してみたらとても興味深くて自分の一生をかけて取り組みたいと思える領域になることは実際にあるのです。
そのため、自分の可能性を少しでも広げるためにも、より広い範囲の症例を扱い、そして症例数も多い施設を選択してもらうことをお勧めいたします。

サブスペシャリティは取得した方がよいでしょうか? また、どのように選ぶのがよいでしょうか?

(大村先生よりご回答)
『サブスペシャリティは取得した方がよい』と私は考えています。
医師という仕事を行っていく中で、いつか自分が他の医師よりも秀でているといえる武器は何だろうと思う日がいつか来ます。
サブスペシャリティがあれば、それが自分の武器だと胸を張って言えますし、近年では自分の疾患のサブスペシャリティを持っている医師を調べて外来を受診してくる患者もいます。

どのように選ぶかに関しては、その基本領域の中で何に興味を持つかだと思います。
これもやはりシンプルに何をやりたいかになると思います。やりたいことが見つからなかったら…、と心配する先生もいるかもしれません。
そのような先生こそ、やはり多くのサブスペシャリティを扱っている施設を研修先に選ぶことをお勧めします。
安心してください、そのような施設で研修をしていただければ必ずやりたいことに巡りあえます。

ダブルボードを検討しているのですが、基本領域の選び方を教えてください。

(大村先生よりご回答)
私はダブルボーダーではありませんが、整形外科では救急科とのダブルボードをとられている先生がいます。
これは取りに行っているというよりは、救命救急科の整形外科部門にいて、両方をとれる環境にいる先生の中にとる先生がいるといった印象です。

海外留学や大学院を選択するメリットはありますか?

(大村先生よりご回答)
海外留学や大学院進学に関しては、医師としての見聞が広がるというメリットがあると思いますが、最終的に自分がどのような医師像を目指しているかによってもその程度は変わるかと思います。
ただし、一つ言えることは、医師は常に自身が行っている医療が最善なのか、もっと他の良い方法はないのか自問自答し、そして他人からもその評価をしっかりと受ける必要があるということです。
学会発表や論文執筆に関しても言えることですが、海外留学、国内留学、大学院はその意識を持ち続けるための重要な手段であると考えています。

2.埼玉県で専門研修を受講するメリット

埼玉県で専門研修を受講するメリットを教えてください。

(大村先生よりご回答)
埼玉県は令和4年に行われた厚生労働省の調査により、患者10万人当たりの医師数が47位と最下位となっています。
これは裏を返せば、医師一人当たりの経験できる症例数が他県と比較し多くなる可能性があるといえます。
専門研修を行う際には、おそらく多くの先生はより早く一人前になりたいと考えるのではないでしょうか。
埼玉県はそのような先生方にとっては、非常に多く、そして広い範囲の疾患を経験できる素晴らしい環境だと思っています。

門野先生から、全国の医学生・臨床研修医にメッセージ

(門野先生よりご回答)
「専門医はどうあるべきか」について議論されている中、眺めている範囲の情報だけで進路を決めるのは不安に思うかもしれません。
医学は常に進歩しているため、われわれは自らの意思で自らを磨き続けることが重要だと思います。
言葉だけを見ると「大変だな」と思うかもしれませんが、自らを磨くことは、新しい知識を得て、新しい技術を身に着けることであり、成長を実感できる嬉しいことにつながります。
歩みを進めたその先に新しい光が見えてきます。さらに困っている人々の笑顔を見ることができて、仕事のやりがいにもつながります。
楽な道、険しい道、さまざまな道がありますが、常に興味を持ち続けて成長していってください。いつか共に仕事ができる日を待ち望んでいます。