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将来自分が活躍したいと考える地域で、人脈を広げておくことは、実はとても役に立ちます

吉益 晴夫よします はるお

勤務先
埼玉医科大学総合医療センター 神経精神科教授
診療科
神経精神科
医師年数
医師35年目
出身大学
慶應義塾大学
経歴
1989年 慶應義塾大学 医学部卒業
1990〜1997年 青溪会駒木野病院(八王子市)
1997〜2001年 慶應義塾大学 大学院
2001〜2002年 ガイズ・キングス・セントトーマス医科大学(ロンドン)
2002〜2014年 昭和大学 横浜市北部病院
2014年〜 埼玉医科大学総合医療センター神経精神科教授、現在に至る
埼玉県キャリアコーディネーターの吉益先生に、インタビューを行いました。専門研修先を選ぶ上でのポイントや、貴重なアドバイスが満載ですので、ぜひ御覧ください。

1.専門研修先を選ぶポイントについて

基本領域(診療科)はどのように選ぶのがよいでしょうか?

「好きこそものの上手なれ」と言います。外科的な手技・判断、内視鏡などを行う際の動体視力、画像の脳内での立体的理解、生命倫理的な把握、薬物療法の合理的な組み立て、患者さんやスタッフとのコミュニケーションなど、診療科によって求められるものが違います。自分が何に向いているか(向いていないか)を把握することが必要です。実習で回った診療科の先生に聞くと、そのまま勧誘に移行することがあります。そのような時、適性まで考えて誘われるわけではありません。自分のことをよく知っている信頼できる人に聞くか、または、自分で考えるしかないでしょう。医師を10年、20年、30年と続けるうちに、診療科のありかたも大きく変わってきます。多少のはやりすたれはありますが、自分の興味のある(または、適性のある)領域を選んだ人は、何とか対応できる(諦めがつく)ものです。もちろん、途中で基本領域を変更することもありですが、若いうちに基本的なことを身につけることは大切なような気がします。

専門研修基幹施設を選ぶポイント(基準)はありますか?

地域性はある程度大切です。将来自分が活躍したいと考える地域で、人脈を広げておくことは、実はとても役に立ちます。そして、自分の臨床の実力をつけておくことも当然大切です。実力がないと、生き生きと仕事ができないだろうと思います。実力をつけるにはどうしたらよいかは、人によって違うかもしれません。ある人にベストであった施設が、別の人には向かなかったということはしばしばあります。誰かに勧められたとか、誘われたというよりは、自分の目で雰囲気や設備を確認して選ぶことをお勧めします。ローテートについては、ある程度自由度を持って、研修医や専攻医一人一人に合わせたローテートをさせてくれるところがお勧めです。

サブスペシャリティは取得した方がよいでしょうか? また、どのように選ぶのがよいでしょうか?

今後、世の中がどう動いていくかはわかりません。各学会は熱心にサブスペシャリティ取得を勧めてくるでしょうが、資格が多くなりすぎると、取得だけでなく維持にも労力と費用がかかります。資格の自然淘汰が発生するかもしれません。結局、自分がどのような医師を目指すかによるのですが、それがわからない時点では、全て取得になるのかもしれません。行き先を見失わないように。

ダブルボードを検討しているのですが、基本領域の選び方を教えてください。

ダブルボードをはじめから狙うというのはあまり考えていませんでした。興味のある分野を勉強しているうちに、自然にダブルボードになった人を何人か知っています。

海外留学や大学院を選択するメリットはありますか?

海外留学は、海外に目当ての研究者がいる、海外で研究や臨床をしたい、海外で生活したいなど、目的があればプラスになります。大学院には、指導教員が決まって、学位を取得しやすいというメリットがあります。しかし、研究をしたいというモチベーションが必要です。海外留学経験や医学博士を経歴として示すことができますので、教育機関や研究機関に就職するときは有利になるでしょう。それがどのくらい大きいことかは、人それぞれです。私は、人生は一度ですから、いろいろチャレンジすることをお勧めしています。

2.埼玉県で専門研修を受講するメリット

埼玉県で専門研修を受講するメリットを教えてください。

研修医も専攻医も東京都集中が目立ちます。全国から人が集まってきます。一方、隣の埼玉県は、人口あたりの医師数が日本で最も少ない都道府県です。当然のこととして、診療に関われる機会が豊富にあります。専門医取得に必要な症例の取り合いになることも少ないでしょう。
吉益先生から、全国の医学生・臨床研修医にメッセージ

研修医や専攻医をどこの病院で行うかは、人生の大きな選択になるかもしれません。研修医や専攻医として勤務をすると、その病院の中で人間関係が作られます。先輩や同期だけでなく、看護師さんなど他職種の人と仕事をすることも良い経験となるはずです。基本的な年限を終了したあとで、同じ病院で引き続き勤務をしたいと思う人は多いでしょう。
 しかし、研修医の中で一握りの人が同じ病院の専攻医になる、専攻医の中で限られた人が同じ病院にスタッフとして残るということになりがちです。先輩達の終了後の進路を聞いておくことをお勧めします。「終了した人がどのような進路をとっているのか教えてください」のように尋ねると角が立ちません。
 どこで、臨床研修と専門研修を終了したのかは、将来、自分自身の心の拠り所になります。また、同じ病院で研修をしたことが共通項となって話が進むなど、医師のはじめの数年が人間関係の土台になります。ある程度の歴史があり、ある程度の規模のある専門研修施設群を選ぶことをお勧めします。前者は縦断的な、後者は横断的な人間関係の広がりをもたらし、時間的空間的にあなたを支えてくれます。